「突き」の突き方

剣道を考える

初段審査では初めての学科審査に挑戦することになります。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!

打突の要素

技を出すとき、一連の動きは

  1. 攻め合い
  2. 振りかぶり
  3. 振り下ろし・打突
  4. 残心

といった要素に分解できます。

この記事で解説する「突き」は振りかぶりがありませんので、それ以外の要素についてみていきましょう。

攻め合い

どの技においても最初に気合を充実させて攻め合いをすることが重要です。
余分な力を抜いて正しく構え、下腹部にやや力を入れて大きく発声し、中心を取る意識で打ち間に入ります。

打突

手を伸ばすだけだと剣先に思うように力が伝わらず、不十分な技になってしまいます。

よく「腰で突く」という指導がありますが、これに表れているように体捌きで突くのが重要です。また、打突に力を乗せるために踏み込んで行うのが一般的です。

足を踏み出し、素早く後足を引き付けながら腕を伸ばして突きますが、このとき注意したいのは以下のポイントです。

握り
握りに力が入りすぎると剣先がブレて打突部位(突き垂)を外れますし、逆に柔らかすぎても突きの反動に耐えられず竹刀の柄が握りの中で滑り、十分な打突になりません。

正しい手の内で適度な力加減で竹刀を握り、打突の瞬間には絞るイメージをするのがいいでしょう。

姿勢
体捌きで突くことが重要なのは先述の通りですが、特に姿勢という点からみると上半身が傾くような突き方は力みやすく二の太刀にもつながりにくいと言えます。

背筋を伸ばし、構えた姿勢そのままに前に出る意識をしましょう。

剣先の軌道
下から上に「突き上げる」ような技は俗に「スコップ突き」などと言われ、相手が怪我をする可能性が高まります。

突きは喉元に向けて出す技ですから、相手の安全には他の技より一層の注意を払う必要があります

そこで突きにおいては、水平よりもむしろ「上から下に」剣先が動くように意識しましょう。
具体的には構えた時の剣先の位置と相手の突き垂の位置を両端とする緩やかな弧を描くように突くようにしましょう。

このような軌道で突くと相手へのダメージが小さく、さらに打突が外れた場合も二の太刀が出しやすくなります。
実際、名選手が試合で突く際はこのような軌道で突いていることが多いようです。

残心

突きは打突の後には下がって残心をとることが一般的ですが、「引きで一本取る」と言われることもあるほどこれが重要です。

実際に稽古をしてみると、突いた後に下がろうとしたとき、しっかり打突部位をとらえて突けていないとスムーズにいきません。

これは裏を返せば、打突の後に素早く下がることによって「正確に突いた」というアピールになるということです。他の技に比べて突きは審判から見づらいことも多く、これが「引きで一本取る」と言われる理由の一つと考えられます。

突いた反動を利用して素早く体を引き、すかさず構えをとって身構え気構えをするようにしましょう。

解答例

以上を踏まえて「『突きの突き方』について説明しなさい」への解答例をまとめましょう。

適度な力加減で正しく竹刀を握った状態から足を踏み込みつつ、腕を伸ばして弧を描くように突き垂を突く。姿勢が崩れないように後ろ足を引き付けて腰で突く意識を持ち、打突した後は素早く体を後方に捌いて残心を示す。

打突の前には正しい姿勢と充実した発声で攻め合いをすることも重要である。

※学科審査がレポート形式の場合などで本記事の内容をそのまま利用することは剽窃となりますので、ぜひこれを参考にご自分の言葉で考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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