剣道具の仕様について ー胴ー

剣道具

剣道具には様々な仕様があります。

作り手のこだわりや工夫が反映されるところですが、自分好みの剣道具の仕様を考えてみるのも面白いですね。

特に胴は多くの種類が用意されていることも多いので、作ってもらう際などに本記事をぜひ参考にしてください。

胴台 ー素材ー

竹胴

竹と生革からできており、伝統的で希少な胴台です。

表面は漆塗りのため樹脂胴には真似のできない美しさがあり、裏から見ても独特の風合いがあります。「手刺防具には竹胴でしょ!」という方も少なくありません。

樹脂胴

その名の通り樹脂(プラスチック)でできた胴台で、軽く安価なのが特長です。

変わり塗りは色のついた樹脂で作るため風合いは竹胴などの漆塗りに比べて劣ります。

ファイバー胴

特殊な紙を重ねて圧縮して作る胴台で、表面に漆を塗ることができるため竹胴と遜色ない風合いを実現することができます。

様々な塗りの胴が欲しいが予算がとれないという方は黒胴(と生地胴)だけは竹胴にこだわり、変わり塗りをファイバー胴で楽しむというのもおすすめです。

胴台 ー塗りー

黒胴

洋服で言えば「礼服」に当たるのが黒胴です。

どんな場面でも違和感なく着けられ、一つは持っておきたい剣道具と言えます。

漆の塗りにおいて磨きこんで鏡のように仕上げたものは「呂色(ろいろ)」と呼ばれます。

生地胴

生革(水牛の革)の上から透明に近い漆を塗るか何も塗らない方法で仕上げた胴で、この仕上げ方は竹胴でしかできません。

革は天然素材で一枚一枚個性があるので、それを生かした風合いを好む愛好家も多いですね。

ファイバー胴などでも生地胴「風」という塗りがありますが、やはり革の素材感を生かした風合いには遠く及ばないでしょう。

変わり塗り

各メーカーが色とりどりの変わり塗りを製作しているのでそうした胴を目にしたことがある方も多いでしょう。

多くの場合飾っておくわけではなく着装して稽古するわけですから、ファッションと同様場面などに応じて使い分けるのが望ましいですね。

胴胸 ー素材ー

手揉みクロザン革

牛革を手で揉んでしわ模様(しぼ)を作るもので、途方もない手間によって生み出され、高い強度と息をのむほどの美しさを持つ素晴らしい素材です。

安価な型押しクロザンが普及するとともに素材にこだわる使い手が減ってしまったことにより生産が大きく減り、今や風前の灯火となってしまった技術です。

現状手に入れることは極めて難しいでしょう。

剣道家がこぞってこのような「ホンモノ」を求めるようになれば状況は変わるかもしれませんね。

型押しクロザン革

しぼを機械的に作り出したクロザン革です。

安価で安定した供給があり、現代では最も一般的な仕様です。

「型押し」と一口に言っても手間のかけ方で見た目の美しさは大きく変わり、価格にも幅があります。

その他の素材

牛革・鹿革・人工皮革・織刺などがあり、紺・白をはじめとして色も種類があります。

クロザン胸の黒胴をお持ちであればお好みによってこういった仕様の胴を選ぶのも楽しいでしょう。

胴胸 ー飾りー

胴胸の飾りも様々なものがあり、お好みによって選ぶのが良いでしょう。

ただし奇抜なものや派手なものは特に大人の剣士にとっては付ける場面を選ぶものとなりますから、「長く使っても飽きの来ない」「風格のある」飾りを選ぶようにすると失敗は少ないでしょう。

また、色付きの糸による飾り「しょっこう(蜀江・曙光など)」は面のアゴと合わせるのが望ましいとされています。

小胸

わきの下を守る部分のことで、「足胸」などとも言います。

サイズによって小胸なしから三本足胸までありますが、これも多ければ良いというものではなく、全体のバランスを見て決めます。

まとめ

胴は剣道具の中でも着装した際の印象に大きく関わるもので、胴台の色なども選べることが多いので「こういう胴が欲しい!」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、上で紹介した通り胴には胴台の色以外にも様々な違いがあり、こうしたことが分かると胴選びの幅もさらに広がるでしょう。

周りの剣友の胴を見てみると「派手な見た目ではないけどすごい名品だった」というものも見つかるかもしれません。

奥深い剣道具の世界に足を踏み入れてみるのも剣道の一つの楽しみ方です。

この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。

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