剣道具には様々な仕様があります。
作り手のこだわりや工夫が反映されるところですが、自分好みの剣道具の仕様を考えてみるのも面白いですね。
剣道具を作ってもらう際などに本記事をぜひ参考にしてください。
段飾り
垂の段飾りは「多ければ多いほど豪華」と考えられることがありますが、実はそうとも言えません。
見上げるような身長であればいざ知らず、平均的な身長の方であれば段飾りが多くなればなるほど布団の部分が短くなり、全体のバランスが崩れてしまうからです。
また、段飾り同士の間隔が狭くなることで硬くなり、自然な曲線が出にくくなることも考えられます。
着ける方の身長によって垂のサイズは変わりますから、そのサイズで最もバランスの良い段数を選ぶのが良いでしょう。
仕立
面垂と同様、大垂と小垂の仕立て方にも違いがあります。
刺し
〈延べ刺〉
大垂・小垂の上から下までを同じ幅で縫う仕立。
刺しの細かい防具はこの刺し方が多いです。
〈額刺〉
グノメ刺のことで、額縁のように真ん中が浮き出ることからこのように呼ばれます。
刺し幅の広い防具においては見た目も美しく、布団が締まることによって形も決まりやすくなります。
〈ナナメ刺〉
左右の大垂を曲がる方向に斜めに縫う方法です。
見た目が特徴的になるので、高級な防具に採用されることは少ないようです。
ヘリ
〈袋縫い仕立〉
通常大垂と小垂のヘリは革で綴じられますが、袋状に縫ってヘリ革を付けない仕立て方があります。
ヘリ革の分軽くなり、見た目にもすっきりした印象になります。
手間のかかる仕立ですが、「軽そう」に見えるため、風格という点においてはやや劣ると言えるかもしれません。
飾り
腹帯・大垂・小垂の革張りや角革、裏革についても様々なデザインや素材があり、面帽子などと同様長く使っても飽きの来ないものを選ぶのがおすすめです。
また、大垂・小垂の(段飾りの下部分の)革張りには刺し方によって種類があります。
浮き雲
刺した布団の上から革飾りを張って纏る仕立で、革のデザインが際立ちます。
刺し雲
面帽子などと同様に革を張ってから布団を刺す仕立てで、手刺の風合いを最大限楽しみたい方におすすめできます。関東型などと呼ばれることもあるようです。
まとめ
本記事では垂の細かい仕様について見てきました。
作り手の立場になれば「おまかせで」と言ってもらった方がやりやすいことも多いでしょうが、どこか一か所に変化を持たせるだけでも個性的な防具に早変わりします。
もちろん「この仕様とこの仕様、どっちにしますか?」と選択肢がある場合もあると思いますから、その時になって焦らないように確認しておくのもいいですね。
細かい仕様の違いがあることが分かると、周りの剣友の防具の違いも気になるようになり、「あ、これ良いな」という発見があるかもしれません。
奥深い剣道具の世界に足を踏み入れてみるのも剣道の一つの楽しみ方です。
この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。
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