剣道具には様々な仕様があります。
作り手のこだわりや工夫が反映されるところですが、自分好みの剣道具の仕様を考えてみるのも面白いですね。
剣道具を作ってもらう際などに本記事をぜひ参考にしてください。
甲手の仕様
手の内
〈茶鹿革〉
燻して強度を高めた鹿革で、最もオーソドックスな仕様です。
〈白鹿革〉
燻さないことによって鹿革本来の柔らかさを体感でき、握りやすく感じる仕様です。一般的に茶鹿革より強度は劣ります。
〈人工皮革〉
主に低価格化のために採用される仕様ですが、現在では鹿革の手触りにかなり近いものもあり、汗や摩耗に対する高い強度なども含めて汗っかきの方や学生さんに支持されます。
ケラ
「生子」などとも呼ばれ、甲手頭の甲革と筒の間にあってクッションの役割を果たす部分です。
一段のものがオーソドックスで、二段のものは見た目が豪華とされていますが接合部が多くなることで耐久性はやや劣ると言えます。
また、子供サイズやそもそもの構造の違いなどでケラがない甲手もあります。
裏子
甲手頭の内側、直接手の甲が触れる部分の布のことです。
〈木綿〉
さらっとした肌触りが特徴で、汗の渇きも早い仕様です。
〈ビロード〉
ふわっとした肌触りが特徴で、高級品に採用されることが多い仕様です。
〈化学繊維〉
面の内輪などと同様で、求める機能性によっては優れているものの手刺防具などとは雰囲気が合わないと感じることもあります。
あんこ(詰め物)
甲手頭の内側の詰め物は打突からの衝撃吸収の要です。
〈鹿毛〉
文字通り鹿の毛で、中空になった構造からクッション性や通気性(汗抜け)に優れています。
使用に伴って少しずつ砕けていくため、使い込むほどに手に馴染んでいきます。
ただし、ボリュームが落ちてくると毛の詰め直しをする必要があります。
〈わた〉
低価格帯の甲手ではポリエステルなどのわたを使用します。クッション性などは鹿毛に比べて大きく劣るということはありませんが、鹿毛のような「馴染み」を体感することは難しいでしょう。
飾り
雪輪・雲飾りを付けることによって高いデザイン性を実現することができます。
また、装飾やあんこの偏り防止のために飾り糸が入り、この入れ方によってもデザインの違いが出ます。
〈紺奴〉
甲手独自の仕様に「奴(やっこ)」というものがあります。
織刺の甲手をベースとし、又革(もしくは雪輪)と雲革など革による補強を施して耐久性を向上させた仕様で、鎧のような武骨な見た目になります。
まとめ
本記事では甲手の細かい仕様について見てきました。
作り手の立場になれば「おまかせで」と言ってもらった方がやりやすいことも多いでしょうが、どこか一か所に変化を持たせるだけでも個性的な防具に早変わりします。
もちろん「この仕様とこの仕様、どっちにしますか?」と選択肢がある場合もあると思いますから、その時になって焦らないように確認しておくのもいいですね。
細かい仕様の違いがあることが分かると、周りの剣友の防具の違いも気になるようになり、「あ、これ良いな」という発見があるかもしれません。
奥深い剣道具の世界に足を踏み入れてみるのも剣道の一つの楽しみ方です。
この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。
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