足さばきの指導上の留意点

剣道を考える

剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。

四段以降は「指導者」の位であると言われますから、自分の中で理解するだけでなくそれを教えることができるように技能や理論を身に付け、より厚みのある剣道を目指しましょう!

足さばきについて

足さばきそのものについてはこちらの記事をご覧ください。

指導上の留意点

足さばきの指導をする際、人によって着目すべき点は異なりますので、苦手な箇所を見抜いてそれを克服できるような指導をしましょう。

構え

まずは正しく構えるように指導することが必要です。

かかとの高さ・足の間隔・ひかがみやひざの角度といった細部について、基本に忠実に教えることはもちろん、「素早く次の動きができる状態を作る」というように構えの意義を理解する機会としましょう。

姿勢

構えに関連しますが、姿勢についても指導する必要があります。

特に目線(目付け)について意識させて背筋の伸びた良い姿勢を作るように指導し、さらに体の移動をしてもそれを崩さず維持するように意識させましょう。

引き付け

前足を出したら多くの場合構えた状態を作るために後ろの足を引き付けますが、これを素早く行うように指導します。

深い理解につながる説明

例えば送り足をするべき場面で歩み足になってしまうのを指導するような場面で、「歩み足になっているから送り足に直しましょう」と言うだけでは「なぜ直さなければならないのか」という理解が得られません。

「送り足は上体の上下動を小さく抑えつつ素早く移動ができる合理的な足さばきだから歩み足よりも適切なんですよ」といった足さばきそのものに対する理解を深めるような説明をすることが大切です。

また、引き付けに関して言えば「引き付けを早く」と言うだけでは理解しづらい場合があるので、「引き付けを素早く行うことで直ちに次の動作につなげられる」といった説明をすることが効果的だと考えられます。

このように深い理解につながるような説明を自分の言葉でできるようになっていくことが「指導者」としての修錬ではないでしょうか。

解答例

以上を踏まえて「『足さばき』について説明し、『指導上の留意点』を述べなさい」への解答例をまとめましょう。

剣道における足さばきには以下のようなものがある。

  • 送り足:
  • 構えの前足(進行方向側の足)を進行方向に出し、素早く後足(引き付け足)を引き付けるという足さばきで、構えが崩れないという特徴があり、小刻みに素早く動きたいとき、例えば触刃の間よりも近い間合いで動くときはこの足さばきを使う。

  • 継ぎ足:
  • 遠い間合いから攻め込んだり打突したりする際に使う足さばきで、送り足と同じように足を継ぐ使い方や構えの後ろ足だけを引き付ける「間を盗む」ような使い方がある。

  • 歩み足:
  • 歩くように足を交互に出す足さばきで、大きく動きたいときに使うが左右や斜め方向への移動には向かない。基本的には相手と縁が切れた遠い間合いで使うが、胴打ちや片手半面打ちの際に「踏み換える」ような使い方をすることもある。

  • 開き足:
  • 剣先を中心としておうぎ形を描くような足さばきで、相手の打突をかわしながら打突する際などに使う。

また、指導上の留意点は以下のようなものである。

  • まずは正しい構えを作れるよう、かかとの高さ・足の間隔・ひかがみやひざの角度といった細部について説明する
  • 背筋の伸びた良い姿勢を意識させ、動作によって崩れないよう注意する
  • 引き付けを素早くし、直ちに構えた状態に戻れるよう指導する

いずれについても、形や動作について説明するだけでなく、理屈などもきちんと説明してより深い理解につなげられるようにする。

※学科審査がレポート形式の場合などで本記事の内容をそのまま利用することは剽窃となりますので、ぜひこれを参考にご自分の言葉で考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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