剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!
「崩して打つ」の典型
相手が剣先を自分の喉元にしっかりつけて中段に構えているとき、そのまま打てる部位はなく、面を打っても抜けることができずに十分な打突ができません。
そんなときに、自分の竹刀で相手の竹刀を物理的に「中心からどかして」打つことが考えられます。
しかし、その動作をのんびり行っていれば相手はすぐに構えを作り直すことができ、逆にこちらの構えの崩れを利用して有利に技を出すことができます。
そこで瞬間的に力を加えることによって「自分は崩れていないが相手の剣先は自分から外れている」状態を生み出すのが「払い技」です。
払い方は何通りも
ひと口に「払い技」と言ってもその角度や方向によって何通りもの払い方があります。
以下では代表的な払い方について解説をします。
表からの払い落とし
表(自分から見て右側)から相手の竹刀を下向きに払います。
これにより面と突きが空くので打突の機会が作れ、相手がそれを竹刀で受けようとしても時間がかかります。
最も効果的な払い方の一つと言えるでしょう。
表からの水平払い
面と突きの打突の機会を作ることができます。
続く打突への力の切り替えが若干難しい払い方です。
表からの払い上げ
面と突きの打突の機会を作ることができ、払いの動きをそのまま打突の振りかぶりにつなげることができます。
ただし相手の竹刀も上方向に動くので打突を竹刀で受けられる可能性も高まります。
裏からの払い落し
裏(自分から見て左側)から相手の竹刀を下向きに払います。
面・突きに加えて小手の打突の機会を作ることができます。
自分の竹刀の動きが大きくなるので難易度が比較的高く、隙を作らないように注意することも必要な払い方です。
裏からの水平払い
面・小手・突きの打突の機会を作ることができます。
表からの払い方同様、次の打突への力の切り替えが若干難しくなります。
裏からの払い上げ
面・突きについては相手の竹刀が上方向に動くためやはり避けられる可能性が高くなりますが、小手を打突する場合は非常に効果的な払い方です。
相手の剣先が上がるので小手の打突の機会ができ、さらに自分は払った力を利用してそのまま振りかぶって打突につなげることができるからです。
払ってから打つまでの時間を短く
いくら鋭く相手の竹刀を払うことができても、打突するまでに時間がかかってしまっては崩しとしては不十分ですね。
そこで払い技を出すときには一足の間に払いと打突を行うようにしましょう。
つまり前足を送り出してから後ろ足を引き付けるまでの間に払って技を出すということです。
いくら足捌きが鋭くとも「払い」と「打突」でそれぞれ足を継いでいては余分に時間がかかってしまうということですね。
これを実践するためには正しい構えを作ることに加え体をまっすぐ前に押し出す足捌きの修錬をすることが重要です。
解答例
以上を踏まえて「『払い技』について説明し、主な技を書きなさい」への解答例をまとめましょう。
自分の構えを大きく崩さないように鋭く力を加え、間髪を入れずに打突につなげる必要がある。
主な技には払い面、払い小手、払い突きがある。
この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。
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