「剣道の理念」と「剣道修錬の心構え」

剣道を考える

剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!

剣道の理念

全日本剣道連盟は剣道の理念を

剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である

と定めています。

これは剣道のあるべき姿を端的に表した言葉と言え、剣道を学ぶすべての人が知っておくべきものです。
剣道に関する理論はたくさんありますが、これだけは常に覚えておきたいですね。

剣道はスポーツではなく、人間形成の手段です

ちょっと極端な言い方かもしれませんが、「人間形成の道である」というからには人間としての成長をしようとしないなら剣道を学ぶ意味はほとんどないでしょう。

護身術としての有用性もあまり高いとは言えませんし、むしろ他人に対して棒を振るうことへの抵抗感が薄れて危険ともとれます。

剣道は試合での勝ちだけを目指すものでも、ましてそれを根拠に偉そうな態度を取るためにやるものでもありません。

厳しい稽古や様々な所作の勉強、剣道を学ぶ老若男女との関わりによって多くのことを学び、それが日常生活に良い影響を与え、ひいては豊かな人間性を獲得することにつながります

まとめ

人間形成にゴールはありません。つまり「剣道にはゴールがない」ということです。

「こうなったら人間は完成」なんて正解はどこにもないからです。

大切なのは「剣道を楽しく学びたい」「人間として成長していきたい」という気持ちを持ち続けることです。

たとえ審査に合格しなくても、たとえ試合に勝てなくても、ダメ出しをたくさん受けても、あるいは全国大会で優勝しようとも、そういう気持ちを持って剣道を楽しむ人が増えれば、剣道はますます海外にも誇れる日本の伝統的な武道としての魅力を増していくのではないでしょうか。

剣道修錬の心構え

全日本剣道連盟は剣道修錬の心構えを

剣道を正しく真剣に学び
心身を錬磨して旺盛なる気力を養い
剣道の特性を通じて礼節をとうとび
信義を重んじ誠を尽して
常に自己の修養に努め
以って国家社会を愛して
広く人類の平和繁栄に
寄与せんとするものである
と定めています。

注目したいのは最後の「広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである」という箇所です。

噛み砕いて言えば「剣道をするにあたっては(程度の差はあれ)人類の平和や繁栄に役立とうという心構えを持ちましょう」ということですね。

この願いは剣道を学んでいるか否かによらず普遍的なものかと思いますが、特に武道を学ぶ剣道家はこれを常に頭の片隅に置いておきたいものです。

解答例

以上を踏まえて「剣道の理念」や「剣道修錬の心構え」に関する問題への解答例をまとめましょう。

※解答に際しては全剣連が定める文言(ブラウンで囲った文章)を書けば十分な場合もありますが、以下はそれに続ける、さらに細かい解答例です。

剣道の本質は人間形成にあり、稽古や試合などはそこに向けて行う手段である。対人競技であり、かつ相手の身体に直接打突する剣道においては修錬を積むごとに他者の気持ちや痛みを知ることができ、これによって他者を敬う心が身に付いてくる。

また、試合の勝敗ばかりを気にして相手への礼を蔑ろにすることは避けなければならないが、競技として取り組む上ではどうしても技術的な優劣や試合での結果にばかり気を取られてしまいがちであり、これをいかに人間形成に繋げていけるかが本質的な修行の一つであり、また指導者の手腕であるとも言える。

親しさや長幼、段位といったものに関わらず礼節をもって他者と接することが既に修行の一部であり、これを常に心掛けることができる者が真に「剣道家」と呼ぶに相応しいと言える。

さらに剣道家が心掛けなければならないことは、剣道で身に付けた礼節や精神力を、剣道の枠組みを超えて社会全体に役立てていくということである。自らの国の平和や繁栄を願うのはもちろんのこと、世界的な平和や繁栄に関する問題から目を背けず「自分には何ができるか」を考えていけるような人間となる必要がある。

※学科審査がレポート形式の場合などで本記事の内容をそのまま利用することは剽窃となりますので、ぜひこれを参考にご自分の言葉で考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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