打突の好機とは

剣道を考える

剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!

打ち出すタイミングは「自分の気分が乗ったとき」ではありません

「しかけていく技」においては自分の気力を充実させた上で打突していくことが重要ですが、実際の立合や試合においては相手の動きに応じてタイミングを見極めることも必要です。

「打突の好機」を正しく理解し、稽古を積むことによってより理に適った剣道を身に付けていくことができると考えられます。

以下、一般的な6つの「打突の好機」について解説していきます。

居ついたところ

「とっさに動けない状態に陥る」ことを剣道では「居つく」と表現しますが、こうなると攻撃も防御も難しくなり、打突をするには絶好の機会と言えます。

一瞬緊張が緩んだときや攻めに驚いたときに居つくことが多いので、相手の身体全体に目を配ることや気迫をもって攻め込むことが重要です。

引いたところ

引き技と異なり、ある程度間合が離れている状態から下がりながら打突することは難しく、さらに相手の動きに応じて自分が前進すると有利な状態になります。

自分の攻めに相手が対応しきれず単純に下がることがありますが、この状態では自分は打突しやすく、相手に打ち返される可能性が低いため打突の好機と言えます。

技の尽きたところ

相手の動作が終わったところのことで、主に打突の動作について言われます。

技を出してから構えを作るまでの間、特に技を出した直後は動作の切れ目なので素早く動くことが難しく、打突の好機と言えます。

起こりはな

動作の起こりのことで、「出ばな技」がこれに当たります。

動作のし始めや心が動いたときはわずかに体の動きが鈍くなるため、これが打突の好機となります。

打突を避けたところ

実践の中では打突するばかりではなく、相手の打突を竹刀で受け止める場面も多くあります。

この「相手の打突を避けたところ」には同時に「他の打突部位が空く」という性質があります。

これを適切に見定めることで打突の好機となります。

一例として、避けた時に空く部位は以下のようになります。

 面を避ける→左右面・小手・胴が空く
小手を避ける→面・突きが空く
 胴を避ける→面・突きが空く

このような打突は「二・三段の技」と同様の理合と言えます。

息を吸うところ

瞬間的に力を入れたいとき、息を止める、あるいは声を出す、ということはよくありますが、逆に息を吸いながら重い物を持ったり素早く動いたりということは不自然でやりにくいですよね。

掛け声の直後や息が上がった際など、息を大きく吸う瞬間は打突はもちろん相手の動きにとっさに対応することも難しくなるので、打突の好機だと言えます。

解答例

以上を踏まえて「『打突の好機』について説明しなさい」への解答例をまとめましょう。

剣道においては自分から技をしかけていくばかりでなく、相手の動きや状態に応じて動くことも重要である。

一般的には相手が以下のような状態になったときが打突の好機とされる。

  • 居ついたところ:
  • 緊張が緩んだときや気迫に圧倒されてとっさに動けない状態に陥る

  • 引いたところ:
  • 攻めに対応しきれず下がる

  • 技の尽きたところ:
  • 主に打突動作が終わった瞬間はとっさに動けない

  • 起こりはな:
  • 動作のし始めは体の動きがわずかに鈍い

  • 打突を避けたところ:
  • 避けた以外のところが空く

  • 息を吸うところ:
  • 息を吸うときは瞬間的に力を入れたり素早く動くことができない

※学科審査がレポート形式の場合などで本記事の内容をそのまま利用することは剽窃となりますので、ぜひこれを参考にご自分の言葉で考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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