剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
四段以降は「指導者」の位であると言われますから、自分の中で理解するだけでなくそれを教えることができるように技能や理論を身に付け、より厚みのある剣道を目指しましょう!
体当たりについて
剣道における体当たりについてはこちらを参考にしてください。
指導上の留意点
姿勢
背筋の伸びた良い姿勢で体当たりをするように指導します。
前傾して当たるとブレーキがかかって威力が半減したり自分の体勢も崩れたりしますし、後傾して当たると腰などに負担がかかり怪我につながる恐れがあるからです。
さらに次の技につなげるためにもリラックスした上体を作る必要があると言えます。
打点
当たるときの姿勢の確認をしたところで、次は「どこで当たるか」を確認しましょう。
体当たりは鍔競合いの形で行いますから当然手(右拳)が当たります。
しかし、右手の力で相手を押すわけではなく、体の慣性を右拳を介して伝えるのが体当たりです。
人間の体の重心はへそから下腹部にかけた部分にあるので、効果的な体当たりのためには正しい姿勢でこの部分同士をぶつけるように指導します。
力の向き
当たる際の力の方向は上の記事でも解説している通り、相手の体格(身長)によって変化します。
身長の高い相手に対しては腰を反らせないように注意しながら上向きに、低い相手に対しては下向きに力を伝えるように指導します。
体格に差がない相手に対してはやや上向きに力を伝えるのが効果的ですが、それにばかりこだわらず個々の癖などに合わせた指導をするようにしましょう。
当たった後
体当たりは相手を崩すことによる攻め口の一つですから、打突と組み合わせて行うのが実戦的です。
相手が下がった場合はすかさず追い込んで打突し、そうでない場合は当たった反動を利用して引き技を打つように指導します。
また、体当たりの姿勢からそのまま打突につなげ、滑らかな一連の動きにできるようにも指導しましょう。
解答例
以上を踏まえて「『体当たり』について説明し、『指導上の留意点』を述べなさい」への解答例をまとめましょう。
打突の勢いを利用して行うことが多い。
指導上の留意点は以下のようなものである。
- 効果的な当たりや怪我の防止、次の打突につなげるために背筋の伸びた良い姿勢で行うように指導する。
- 「手当たり」にならないよう、体の重心をぶつける心持ちで当たるように指導する。
- 通常当たる際はやや上向きに力を掛けるが、相手の身長などによって適切に力の向きを変化させるように指導し、個々の癖などに合わせて指導法を工夫する。
- 当たった後は相手が引けば追って打ち、そうでなければ反動を利用して引き技などにつなげるように指導し、これらが一連の滑らかな動きとなるようにも指導する。
この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。
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