「基本」の重要性

剣道を考える

初段審査では初めての学科審査に挑戦することになります。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!

「基本」とは?

例えば剣道初心者に必要な道具だけ渡して、「あとは自分でやってね」と伝えたらどうなるでしょう。
誰に教わらずとも10年や20年続ければ一般的な剣道の形に近い動きができるようになるかもしれません。しかしこれは想像を絶する遠回りですね。

おそらく剣の道の先人たちは「初心者が自分たちのような達人の域にいかに早く近付けるか」をテーマに教え方を試行錯誤してきたことでしょう。その結果、"送り足"とか"左手小指の半掛け"といったいわゆる「基本」が現代に残されました。

そう考えると、「基本」とは「上達への最も効率的な近道」だと言えます。

基本を崩すタイミング

剣道歴がある程度長くなってくると、自分の癖や「こうした方が良いんじゃないか」というイメージによって基本が崩れることがあります。

例えば、
打った後の抜けが送り足ではなく歩み足になる
剣先を中心から外してフェイントを掛ける
といったことです。

ですが、もし本当にそうした方が良いのであれば剣道の長い歴史の中でとっくにそうなっているはずではないでしょうか。
おそらく先人たちも「こうした方が良いだろう」「やっぱり普通にやった方がうまくいったなあ」というようなことを繰り返して現在の基本を作ったはずです。

もちろん運動をする上での能力や癖には個人差がありますからアレンジを加えることも必要ですが、多くの場合基本が最も重要だと考えて差し支えないのではないでしょうか。

基本の習得は初心者の内に?

「基本と言えば初心者がやるべきもので、何年かすると次の段階に進む」という考え方は一見ごく普通のものですが、ここには疑問を持たなくてはなりません。

「剣聖」と呼ばれた天才剣士、持田盛二先生はその遺訓の中で次のように言われています。

剣道は五十歳までは基礎を一所懸命勉強して、自分のものにしなくてはならない。普通基礎というと、初心者のうちに修得してしまったと思っているが、これは大変な間違いであって、そのため基礎を頭の中にしまい込んだままの人が非常に多い。

私は剣道の基礎を体で覚えるのに五十年かかった。
(後略)

なんと剣聖ですら基本を習得するのに五十年かかったというのです。

ただ、その事実というよりは「基本は初心者で終わりではない。基本を習得すべく稽古しよう。」という考え方に注目するべきでしょう。

これを見てもやはり基本というものがいかに奥深く重要であるか分かりますね。

解答例

以上を踏まえて「『基本の大切さ』について述べなさい」への解答例をまとめましょう。

「基本」は先人たちが築き上げてきた指導の集大成であると考えられ、多くの場合独自の稽古法を行うより高い効果が得られる「上達への最も効率的な近道」だと言える。

また、基本が剣道の上達と深い関わりがある以上、初心者の段階において重要であるだけでなく、熟練するにつれて先人の教えを確かめるように稽古していく必要がある。

※学科審査がレポート形式の場合などで本記事の内容をそのまま利用することは剽窃となりますので、ぜひこれを参考にご自分の言葉で考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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