使ってはいけない竹刀とは

剣道を考える

初段審査では初めての学科審査に挑戦することになります。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!

使ってはいけない竹刀

使ってはいけない竹刀とは、一般的に次のようなものです。

  • 剣道試合・審判規則の基準を満たさない竹刀
  • 竹のピースにササクレ・折れ・亀裂などがあるもの
  • 中結・先革・柄革といった付属品に破損があるもの
  • 中結を剣先より全長の約1/4の位置に固定していないもの

以下、詳しく解説します。

剣道試合・審判規則の基準を満たさない竹刀

全日本剣道連盟「剣道試合・審判規則」及びその細則では竹刀についての規定が定められていますが、ポイントは主に次の4つです。
材質
竹刀の材質は竹または全日本剣道連盟が認めた化学繊維です。化学繊維製の竹刀とはいわゆる「カーボンシナイ」ですが、多くの場合竹製の竹刀が使われますからこれはあまり重要ではないですね。

長さ
竹刀は長ければ長いほど遠くからの打突が可能となり試合に有利に働く可能性が高くなります。試合の公平性を担保するために年代ごとに長さが規定されています。

太さ
剣先が細くなると竹刀の重心が柄側に移動し、より打ちが早くなるでしょう。しかし、剣先に近い部分は打突部ですから、ここが細くなり過ぎると強度に不安が生じます。
さらに、万が一面金の隙間に竹刀が入ることがあっては失明などの重大な事故の原因となりえます(実際に大昔そういうことがあったようです)。
このように、安全のために太さが規定されています。

重さ
竹刀が軽ければ軽いほど打突のスピードは上がります。しかし、竹刀の重さを軽くするということは強度に不安があるような(薄い・密度の低い)竹を使う必要があるということです。
試合における公平性と、やはり安全のために重さが規定されています。

この他にも、以下のような竹刀の使用が禁止されています

  • 竹の隙間が広く開いてしまっている竹刀
  • 中に異物が入っている竹刀
  • 安全性に問題のある加工・形状の変更をした竹刀

竹のピースにササクレ・折れ・亀裂などがあるもの

こちらは分かりやすいと思いますが、竹刀の竹にササクレなどの傷みがあると打突の際に脱落した破片が体に当たって怪我をする可能性が高いです。そうでなくても相手の防具の傷みを早めてしまうことにもなります。

竹刀自体を長持ちさせるためにもこまめに点検・お手入れをする必要があります。

中結・先革・柄革といった付属品に破損があるもの

付属品が破損した場合、竹刀の安全性は著しく落ちます。
それぞれの危険性は以下の通りです。

先革が破れる
→竹の先端がむき出しになる
→面金の隙間に入ってしまう

中結が切れる
→しなった時の弦の遊びが大きくなり、先革が外れる
→先革が破れた時と同様

弦が切れる
→先革が外れる(以下同様)

柄革の剣先側がちぎれる
→弦が緩み、先革が外れる(以下同様)

柄頭が破れる
→柄革が剣先方向に動き、弦が緩む(以下同様)

竹のピース1枚1枚は薄いため、万が一これがむき出しになると面金の隙間から中に入って重大な事故につながる可能性があります。

中結を剣先より全長の約1/4の位置に固定していないもの

中結をきちんと取り付ける意味は上で取り上げた通りですが、竹刀の"打突部"とは中結から先の刃部であるという解釈が一般的ですから、中結が手前にあればあるだけ有効打突の可能性を高めることになります。試合の公平性を担保するためにも重要な要素だと言えます。

これだけじゃない!使ってはいけない竹刀

上で取り上げたもの以外にも「使ってはいけない竹刀」はあります。
既に伝わっているかと思いますが、相手や自分の安全のためにこれは必ず理解していなければなりません。

使わずに放置した竹刀

竹は自然の素材です。古くなった竹刀を使用すると前触れなく粉砕する可能性がありますから、何年も手入れや使用をせずにいた竹刀を使うことはやめましょう。

中結をきつく締めた竹刀

「中結はきつく締まっていればいるほど良い」と勘違いしている方が多いのですが、これは間違いです。
竹刀は4枚の竹を合わせることによって強度と適度なしなりを実現しており、また打突の衝撃がうまく逃げるようになっています。
ところが中結を強い力で締め付けると竹同士の遊びがなくなり、衝撃が逃げずにそのまま伝わってしまうので竹刀の寿命を縮めることになります。

中結を締める時はわずかに動かせる程度の力加減で行いましょう。

弦を強く張った竹刀

弦も「強く張った方が良い」という解釈で竹刀が反ってしまうほど強く張る方がいるようですが、それでは常に竹に負荷がかかっている状態となり、そこに打突の衝撃が加われば早く傷んでしまうことは明白です。
とは言え、弦は先革を固定するための重要な付属品です。緩むことがあってはいけないので、竹が反ったりしないように加減しながらしっかりと張るようにしましょう。

解答例

以上を踏まえて「『使ってはいけない竹刀』とはどのような竹刀か説明しなさい」への解答例をまとめましょう。

試合においては、試合・審判規則、及び細則によって定められた規格を満たさない竹刀または禁止されている竹刀のことである。

試合を含め、剣道を行う上では安全の確保が非常に重要であり、その観点から次のような竹刀は使用すべきでない。

  • 竹刀の竹や付属品に破損のあるもの
  • 中結や弦の締め具合を含め、付属品が適切に仕組まれていないもの
  • 安全性を損なうような仕様や加工のあるもの
  • こまめに点検や手入れをしていないもの
※学科審査がレポート形式の場合などで本記事の内容をそのまま利用することは剽窃となりますので、ぜひこれを参考にご自分の言葉で考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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