日本剣道形「五つの構え」

剣道を考える

剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!

構え

日本剣道形は多くの剣術の流派の優れた点を集めて作られたと言われます。

剣術には何種類もの構えがありますが、その中で剣道形に取り入れられた代表的な構えは五つあります。

現代の竹刀剣道においては(一刀の)構えと言えば「中段」と「(左)上段」の2つがほぼ全てですが、これと異なる構えを学ぶことによってより一層剣の理法を深く学ぶことができます。

竹刀剣道においてこの2つの構えがほとんどになった理由としては、おそらく「竹刀と(日本)刀の違い」があります。重さの違いもありますし、「"打つ"と"斬る"の違い」もあり、「竹刀は刀のように使う」という教えもある一方でやはり操作法の違いは確実にあると言えるでしょう。

こうしたことが現代剣道における構えの種類の少なさの理由と考えられます。

五つの構え

それでは、日本剣道形の「五つの構え」のそれぞれについて、とり方をみていきましょう。

また、構えは「攻めの構え」と「守りの構え」におおまかに分けることができますが、その点についても解説します。なお、これらについては諸説ある場合があるのであくまで一つの例としてご覧ください。

中段の構え

最も一般的な構えです。

左拳がへその前あたりにくるようにし、剣先を相手の喉元か目に向ける高さで構えます。

剣が体の真ん中にあるので、どこへ動かすのも無駄がなく、攻守ともに優れた構えだと言えます。

なお、相手が左上段の構えであるときには相手の左手に剣先を向けるように変化させます。

上段の構え

振りかぶるように剣を頭上にとって構えます。

左足が攻め足になる構え(左上段)と右足が攻め足となる構え(右上段)がありますが、いずれも上から相手を威圧して一気に刀を振り下ろすことから、"攻めの構え"であると言えます(「火の構え」と言うこともあります)。

攻撃性が高いことと引き換えに、突きや胴はがら空きになってしまいます。

下段の構え

剣先を下げて構えをとります。

下段の構えから直接攻撃することはなく、相手の動きに応じて変化する構えです。

特に間合が遠い内は距離感がとりづらく、相手もうかつに間合いを詰めることを嫌うと考えられますから"守りの構え"であると言えます。

八相の構え

刀を右肩にとって構えます。

この体勢から一気に袈裟(斜め)に斬り込むことができ、"攻めの構え"だと言えます。

脇構え

半身になって刀を右脇にとって構えます。

これによって刀の刀身が自分の体の陰に隠れ、相手はこちらの刀の長さが測れないので慎重に間合いを詰めざるを得ません。ここから、脇構えは"守りの構え"であると言えます。

まとめ

冒頭でも触れたように、「構え」というものには多くの種類があります。

その代表例として日本剣道形の「五つの構え」を学び、さらにそれらの構えの裏にある理合を学ぶことによって竹刀剣道にも深みが出てきます。

中段の構えしか知らない人が中段をとるのと、「五つの構え」を知っている人が中段をとるのとではやはり意味が違ってくるわけです。

また、太刀(大刀)の構えだけでなく、小太刀の構えについても学ぶものは多いでしょう。
このように剣道形の修錬を竹刀剣道につなげ、活かしていくことが非常に大切だと言えます。

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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