剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
技能だけでなく、理論も身に付けてより厚みのある剣道を目指しましょう!
礼儀がいらない競技はありません
「剣道では礼儀を重んじる」とはよく言われることですが、どんなスポーツ・競技であれ、そして日常生活においても礼儀は大切なものですよね。
そこでこの記事では、"特に"剣道において礼儀が重要である理由を解説します。
剣道のルーツは真剣勝負
剣道の歴史を辿っていくと刀によって勝負をしていた時代に至ります。
命を賭けた文字通り「真剣勝負」です。
この時代では「相手に対する礼儀」などというものはなかったのではないでしょうか。
負けることは命を落とすことを意味しますから、「勝ちさえすればそれでいい」という考え方が主流であっても不思議はありません。
そこから時が流れ、「剣道」と名前を変えて現代の私達が学んでいるわけですが、そこに人間の闘争本能むき出しの戦いはもうありません。
闘争本能に任せて目の前の相手を攻撃するのではなく、それを抑えることに修行としての意義があります。
剣道は対人格闘技
剣道は有効打突を目指して互いの体(打突部位)を打ち合う競技です。
稽古の際には自分が打つばかりでなく相手の打突を受ける必要がありますが、打突を受けるのにも体力が必要ですし、痛みが伴うこともあるでしょう。
ここから分かるように、剣道仲間というのは単に「同じ競技に一緒に取り組む仲間」ではなく「互いがいてこそ(剣道として)成り立つ仲間」なのです。
他のスポーツなどに比べて特別礼儀が必要になるのはこういったところも影響しています。
礼儀なしに他人を竹刀で打っていいはずはないですよね。
剣道にプロはありません
剣道には野球やサッカーのような「プロ」が存在しません。
道場や教室で収入を得ている方や警察の特別訓練員のように専門的に剣道をしている方はいますが、直接的に試合に勝つことで暮らしを立てている人はいません。
そもそも、賞金がかかった大会を見たことがある人はいないと思います。
仮に剣道の技術を極限まで高められたとしても、それだけでは特段のメリットは無いのです。
剣道を学んで得るものが剣道の技術"だけ"ではもったいないということですね。
そこで礼儀を身に付けようということです。
武道である剣道を学ぶにあたって、剣道を知らない人よりも深く礼儀を考え、大切にする。
そういう姿勢を持ちたいですね。
解答例
以上を踏まえて「剣道で『礼儀を大切にする理由』について述べなさい」への解答例をまとめましょう。
人間形成において礼儀が重要であることは言うまでもないが、剣道は対人格闘技的な性格を持つ競技であり、相手がいてさらに自分の打ちを受けてもらわなければ稽古は成り立たず、ここに相手へのより一層の感謝や尊敬の気持ちが求められる。
また、剣道において技術の習得だけを求めるのはその理念からも適切ではなく、端正な姿勢や丁寧な言葉遣い、他人の考えを受け入れる心構えなどを身に付けることに修行の重要な意義があると言える。
この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。
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