剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
四段以降は「指導者」の位であると言われますから、自分の中で理解するだけでなくそれを教えることができるように技能や理論を身に付け、より厚みのある剣道を目指しましょう!
「攻め」とは何か
これは剣道を学ぶ上で非常に大きな問いではないかと思いますが、ひとつには「自分が有利、相手が不利な状況を作り出す」ことだと考えられます。
このような状況を作らなくとも反射神経と運動能力で有効打突を取ることはできますが、それは「武道」としては寂しいものがあるのではないでしょうか。
この「自分が有利、相手が不利」な状況を作り出すことによって相手の崩れを生むことができますが、そのためのきっかけとして剣道では3つの点を攻めていくことが一般的です。
「気」によって攻める
まずは充実した発声をし、自分を鼓舞するとともに相手の気勢を削ぎます。
ただ単に大きい声を出すというよりは「打つぞ」「突くぞ」という気勢を乗せるようにすることによってこの攻め気が相手に伝わり、威圧するとともに相手の攻め気を削ぐことにつながります。
「剣」によって攻める
相手を気によって攻め、動揺を生んだとしても構えが崩れるとは限りません。
剣先が中心に付けられていれば技を出すことはできませんから、この竹刀を中心からずらす必要があります。
これが「剣によって攻める」ということです。
自分の竹刀で押さえる・払う・巻くといった崩し方が考えられます。
「技」によって攻める
自分の技によって有利な状況を作ることに加え、相手の技の機先を制することによって攻めます。
堂々と大きく構えて相手に先んじて間合に入ることによって相手の打突の機会を殺し、さらに相手の動作の起こり端を押さえたり適切な応じ技を繰り出すことによって自分の打突の機会を生むことができます。
さらに、多彩な技を繰り出すことも攻めとして有効で、相手の攻め気を削ぐだけでなく技を警戒することによって構えの崩れが生まれることもあります。
解答例
以上を踏まえて「『攻め・崩し』について説明しなさい」への解答例をまとめましょう。
- 気によって攻める
- 剣によって攻める
- 技によって攻める
まず自分の気勢を充実させ、「打つぞ」「突くぞ」という旺盛な攻め気を相手にぶつける。攻め気は発声に表れる部分が大きいため、下腹部にやや力を入れた正しい呼吸法により自分を奮い立たせ相手を威圧するような掛け声を行う。
これによって相手の心に動揺を生み、構えが崩れる機会を生む。
互いに剣先を中心につけた状態では打突の機会は生まれないので、相手の竹刀を自分の竹刀で押さえたり払ったり巻いたりすることで相手の剣先をずらし、構えが崩れる機会を生む。
相手が打突しようとする起こり端を押さえたり、あるいは相手の技に応じた技を適切に繰り出したりすることによって相手の気力を削ぎ、攻め気の途切れたところを打突する。
また、多彩な技を使い分けることは相手が打突しようとすることへの抑止力となり、これによっても相手の攻め気を押さえることができるのに加え、相手がこちらの技を警戒して構えを崩す機会も生まれる。
この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。
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