剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。
四段以降は「指導者」の位であると言われますから、自分の中で理解するだけでなくそれを教えることができるように技能や理論を身に付け、より厚みのある剣道を目指しましょう!
刀の刃筋
「刃筋」は日本刀で想像すると分かりやすいですが、峯(みね、刃の反対側)と刃を結んだ線の方向のことです。
包丁で野菜を切る場面を想像すると、切りたい方向・角度と包丁の角度を合わせます(と言うより当てた包丁の角度で野菜の切れ方は変わるという方が直感的でしょうか)が、このように刀(全体)が動く方向と刃筋が一致することを「刃筋が通る」と言います。
刀で正面を切る場合、刃筋が通っていると真上から見た時に写真のように刀が最も薄く見えることになります。
刃筋が通らない正面は下の写真のようになります。
竹刀の刃筋
竹刀は丸い上に「切る」のではなく「打つ」ためのものですから、「刃筋」の理解がしづらいと言えます。
しかし、竹刀の源流は刀であり、「刃筋」について理解することも立派な「剣の理法の修錬」ですから、竹刀についても確認しましょう。
竹刀においては、峯は弦の張ってある側、刃はその反対側とされていますから、刃筋はそれらを結んだ線のことで、「刃筋が通る」とは言い換えれば「弦が張ってあるのと反対側の竹が平らに当たる」ということです。
写真のように打突方向に対して弦が真逆を向いていれば刃筋が通っています。
また、胴打ちは刃筋を通すのがやや難しいですが、以下の画像を参考になさってください。
有効打突の要件
有効打突の要件は「充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるもの」と定められており、試合で一本を取るためには「刃筋」の理解が欠かせないことが分かります。
「刃筋正しく打突」をするというのは「刃筋の通った打突」をするというのと同じ意味ですが、竹刀の柄はほとんどの場合円いので、特に初心の内は意識しないと刃で打突部位をとらえることが難しくなります。
また、試合において審判を務める場合はここも忘れずに確認しなければならず、特に構えた時に竹刀が回る癖や打突時に竹刀が回る(平打ち)癖がある場合はそういったことを参考にしながら注意深く見る必要があります。
解答例
以上を踏まえて「『刃筋』について説明しなさい」への解答例をまとめましょう。
竹刀においても同様で、打突の際には竹刀の進行方向に弦の反対側が真っ直ぐ向いていることが求められる。
この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。
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