審判員の心得

剣道を考える

剣道の稽古においては体力や技の鍛錬だけでなく、理論を学ぶことも大切です。

四段以降は試合の審判を務める機会が徐々に増えますが、その際の心得とはどのようなものでしょうか。

審判としての剣道

審判員の心得については「一般的要件」と「留意事項」に分けて挙げられることが多く、これらは分かりやすく言えば「こういう人が審判を務めるのに相応しい」という要件と「審判を務める上ではこのようなことに気を付けましょう」という事項です。

もちろん剣道を続けていれば審判をする機会は誰にでもあり、「一般的要件を満たしているとは思えないから審判はできない」とは言っていられません。

むしろ積極的に経験を積み、そのたびに反省をしたり先輩審判員に指導を受けたりすることで審判としての技能を向上させることが大切です。

そう、審判員としての修行も剣道と同じ、と言うより剣道修行の大切な一部だと言えます。

「決定」ではなく「判定」

剣道の試合においては審判の判定無しに勝負が決まることはなく、これによって「審判が有効打突や勝敗を決めている」と錯覚することがあります。

しかし、有効打突についてはその要件が剣道試合・審判規則によって定められており、ある技が出た時にそれが有効打突であるか否かは既に決まっています

審判の役目は「今の技は良かったから合格点をあげよう」と有効打突を「決定」することではなく、そこにある有効打突(や反則)を正しく「判定」することです。

つまり同じ技を見た時に審判員Aと審判員Bで判定が異なることは(理想的には)ありえないということです。
もちろん人間ですから見誤ったり判断に個人差が出たりすることはあるでしょうし、それは責めるべきことではありません。

しかし審判員には試合運営上の強い権限が与えられており、また全力で試合に臨んでいる選手のことを考えても、その「権利」に相当する大きな「責任」を果たさなければならないというのが審判員としての「心得」の第一ではないでしょうか。

以下ではその他の「審判員の心得」について解説をしていきます。

公平無私であること

剣道に限ったことではありませんが、審判を務めるときはどちらかの選手やチームに肩入れするようなことがあってはなりません。

しかしながら、人間ですからどうしても色眼鏡で見てしまうことがあり、その中で客観的な事実に基づいた判定を下せるように心掛けていくことが審判員としての修行と言えます。

ここで気を付けなければいけないのがひいきの逆で、選手のどちらかが自分と関わりのある立場だった時に「ひいきしてはいけない」という気持ちが強すぎてむしろ旗が重くなってしまうことがあります。

「もっとい良い技が出るだろう」と期待する気持ちによる場合もありますが、理由はどうあれやはり試合の公平性が崩れてしまいますからこれは避けなければなりません。

ルールの理解と適切な運用

審判は試合において勝敗を判決し、特に剣道においては試合運営にあたってかなり強い権限を与えられます。

このため選手以上に試合・審判規則を熟知している必要があり、さらにはあらゆる状況に対して適切に運用することが求められます。

実際に審判を務める際は事前に規則を熟読し、あらゆる状況を想定して準備することが重要です。

剣理への精通

審判員は剣理に精通している必要があります。
適切・瞬時に判定を下すためには「眼」が大切であり、また多くの技を知っていることも必要だからです。

自分が知らない技が急に出たら判断に困るというのは想像しやすいのではないでしょうか。

もちろん「私はまだまだ実力不足だから審判なんて・・・」といつまでも審判を敬遠しているわけにはいきませんから、審判技術を向上させると同時に自身の剣道の技術も向上させるように心掛けましょう。

健康体であること

審判とは一見あまり関係がなさそうな「心身の健康」ですが、体調や気分が優れない状態で審判をすることを想像してみましょう。

選手の素早い動きについていき一瞬で判断をすることや複雑な有効打突の要件を適切に見極めることは難しいでしょう。

審判を務めるときは心身共に調子を整えることが必要だと言えます。

品位を保つ

審判は正式には決められた服装で行いますが、この着こなしが悪いと「あの審判はきちんと判定ができるのか」と試合そのものの威信を傷付けかねません。

シワなどのないように手入れをした服装をきっちりと着用し、時々崩れていないかのチェックをしましょう。

また服装と同様、ふるまいも試合そのものの緊張感や審判としての信用に関わります。

実際に審判をしている間だけでなく試合を観ている時間も姿勢や態度を正し、「格好良く」ふるまいましょう

審判員の服装や持ち物についてまとめた記事はこちら

主審と副審の連携

多くの場合剣道の試合は主審一名と副審二名による三審制がとられますが、この三者の連携を図ることも重要な意識です。

特によく言われるのが主審を頂点とする二等辺三角形を維持し、三者ともに技を見逃すことがないようにすることです。
自分が試合に集中するだけでなく、他の審判にも気を回せる「広い視野」を持つように意識しましょう。

言葉をはっきり

特に主審は有効打突の宣告だけでなく選手に注意や指導をする機会があり、この際に言葉がはっきりしないと試合の円滑な運営に支障をきたします。

単に声が大きければいいというものではないというのが難しいところですが、「伝わりやすい言葉で」という意識をもって行うといいでしょう。

意欲と研鑽

試合において選手は当然全力で臨んできますが、審判はその気持ちに応えるように高い緊張感と覚悟を持って臨まなければなりません。

「審判が剣道の発展を左右する」という考え方もあるくらい、どの技を有効打突とするか、言い換えれば「どのような技を剣道の技として認めるのか」ということは重要です。

剣道の発展の一端を担っているという責任感を感じるところですが、こうしたことから、審判の任に預かったときには高い意欲をもって臨み、自身の審判を振り返って反省し、他の審判を見て研究を重ねることが重要だと言えます。

解答例

以上を踏まえて「『審判員の心得』について述べなさい」への解答例をまとめましょう。

審判員の判定は剣道の発展の方向付けに関わるとも言え、与えられた権限に相当する責任を果たすべく有効打突や反則などを適切・瞬時に判定する必要があり、そのような責任感をもって臨むことが大切である。

また、円滑な試合運営や審判技術の向上のために以下のような心構えが重要である。

  1. 公平無私に行い、片方をひいきしたり逆に厳しくみたりしない
  2. 剣道試合・審判規則をはじめとする規則をよく理解し、あらゆる場面で適切に運用できるようにする
  3. 自身の剣道修行にも熱心に励み、眼を鍛え多くの技を知る
  4. 心身共に健康な状態で臨む
  5. 品位ある行動を心掛け、服装や振る舞いを正す
  6. 主審と副審といった異なる立場同士の連携を図る
  7. 言葉を発するときは明瞭にする
  8. 高い意欲を持って積極的に審判員を務め、反省をしたり指導を受けたりして技能の向上に努める
※学科審査がレポート形式の場合などで本記事の内容をそのまま利用することは剽窃となりますので、ぜひこれを参考にご自分の言葉で考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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