剣道における「試合」を考える

剣道を考える

「試合」は多くのスポーツなどにおいてプレーヤーが勝利を目指して挑むものですが、剣道においても試合に勝つことを目標に日々稽古に励んでいる方は多いでしょう。

何であれ「稽古を頑張るぞ」というモチベーションを与えてくれるものは貴重なものですから、そのような意味で試合は非常に有意義なものだと言えます。

しかし、剣道は武道。やはりスポーツとは少し異なった臨み方ができるとさらに良いのではないでしょうか。

試し合い

剣道における試合は「"試し合い"という意味である」という見方がされることがよくあります。
普段の稽古で培ったものをお互いにぶつけあい、それが自分の手の内を知らない相手に通用するのかということを「試す」ということですね。

試した結果うまくいった技はさらに磨きをかけ、通用しなかった技は見直すことになりますが、ここで気付くのは「本番は稽古である」ということです。

一般的に「本番」と言えば試合のことで、それに向けて「練習」をしますね。
ですが武道である剣道においては試合で自分の修錬の度合いを測り、それを「稽古」に持ち帰ってさらなる高みを目指すことが求められます。

つい忘れてしまうこともあるかもしれませんが剣道はもっぱら「人間形成」を目的としています。「試合に勝った人が偉い」のであれば試合を本番と考えればいいわけですが、そうではないので普段の稽古によって自分の剣道を高め、それに伴って優れた人間性を身に付けていく必要があるのです。

そういう意味では、剣道の試合における重要な目標は「稽古の成果を出し切る」ということです。その結果として勝敗はつきますが、負けたからといって落ち込みすぎることはありません。

試合は稽古〇回分!

「1回の試合は普段の稽古〇回分の価値がある」というような見方がありますが、これは間違いないでしょう。

試合は手の内を知らない相手とやることが多いですから、稽古の成果を「試す」のには絶好の機会と言えます。

さらに、有効打突が一定数出ると試合は終わってしまいますから、その緊張感の中で稽古の時とはまた違った真剣味が出ます。

こうした状況の中で真剣勝負をすることは普段の稽古1回分以上の価値を持つと考えてもいいのではないでしょうか。

試合をやるなら勝ちたい!

多くの人は「勝ち」と「負け」があるなら勝ちたいと思うでしょう。

そういう意味で勝ちへのモチベーションはほとんどの人が持っていると考えられますが、試合で勝ちを目指す理由はそれだけではありません。

ある程度の規模の試合になるとトーナメント方式がとられますが、これは「勝つことによってさらに強い相手と試し合いができる」ということです。

先程触れたように1回の試合は大きな価値を持っていますが、それが何回もできるならこれほど貴重な機会もないでしょう。

その機会を掴むためには試合に勝つことが必要になります。

逆に言えば勝敗が試合数に関係しない場合には、勝敗よりも稽古の成果を出し切ることに重点を置く方が得られるものは多いでしょう。

対戦相手も一生懸命稽古しています

さて、いざ試合が始まれば有効打突を出そうとするわけですが、ここで忘れてはならないのは「相手も一生懸命稽古して試合に臨んでいる」ということです。

もちろん所属団体や個人によって稽古への取り組み方は様々ですが、時間や体力などのそれぞれの条件の中でみなさん努力をしています。

「他の人よりも一生懸命稽古してるぞ」という自信を持つことは非常に大切ですが、同時に相手の努力を認める姿勢も持ちたいですね。

そのような気持ちがあれば、礼法などの所作や態度にも重みが出て、お互いを尊敬し合った良い試合になるでしょう。

逆に言えば相手の反則を頼るような公正性に欠ける・消極的な姿勢は避けるべきですし、鍔競合いの際に解消するそぶりを見せてから打突をするような卑怯な振る舞いはしてはいけません。
ましてや故意に打突部位を外すような感情的に相手に苦痛を与える行為はあってはなりません。

そうした行為は自分の努力を否定することになります

まとめ

試合は剣道を修錬する上で非常に貴重なもので、真剣に臨むことで多くのものを得ることができます。

勝利を目指すことは大切なことですが、目先の勝ちにこだわりすぎて"身にならない"試合をしてしまっては本末転倒です。

相手への尊敬の気持ちを持ち、自分の稽古の成果に誇りを持ってそれを出し切るように臨みましょう。

そして試合の後にはその反省をし、稽古の質をさらに高め、もって豊かな人間性を身に付けられるように修錬を重ねましょう。

この機会に、改めて「試合」というものについて考えてみてください!

この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。

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